2014年7月30日水曜日

結局、子の引渡し調停ってなんだ?

裁判所のHPのコピーライトは最高裁にある、らしい。
ならHPにあるのはお墨付き、だよね?

ここに、例の子の引渡し調停についての説明がある。
同じ内容のPDFファイルもある。

子の引渡しあるなしでなにが違うのかなとおもって、法的な根拠を調べていてわかったこと。
この引渡しって、特にそれを意識してつくられた法律がないみたい。
ずっと平成10年から、司法統計に載っているくらい、一般的なことがらなんだけど。
だから、ハーグのときに執行官がびびってたんだ。

民法第七百六十六条 にも条文はない。

3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、
前二項の規定による定めを変更し、
その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

これだけ。

家事手続法ではこう。
第百五十七条  
家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
一  夫婦間の協力扶助に関する処分
二  婚姻費用の分担に関する処分
三  子の監護に関する処分
四  財産の分与に関する処分
2  家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
要は、保全処分という扱い。

ちなみに、保全命令がでたときのことだけど、
執行は基本的に、物件の差し押さえかなにかと同じことがらになっているので、
期間は2週間に限られている。


民事保全法第43条第2項 
保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から二週間を経過したときは、これをしてはならない。

なんぞ、これは。自動車かなにかの扱いか。

そして、法律がないってことは、審判官のフリーハンドってことか。
命令って、なにを命令できるのかなあ。適当な処分ってなんだ?

いや、申し立てておいてなんなんだけど、このカオスな状況を知らなかったよ。
だって裁判所のHPにでてるんだもんよ。

2014年7月29日火曜日

もうひとつの終局


その他というのがあります。けっこうバカにならない数がある。

たぶんこれは、なんらかの合意が形成できた場合ってことなんだと思われます。

これと取下げを足すとこんなことに。



審判といいつつ、半分以上は、裁判官を交えた調停であることが伺える。
まあそれそのものは良い。むしろ、望ましいかもしれない。
問題は、この「その他」の伸びが、認容をもっぱら食って大きくなってること。

認容のかわりに合意に持っていってる。

それは公正でないな。落としどころが最初から露骨だ、感心しませんね。

2014年7月28日月曜日

引き離し親と引き離され親の星取表



前回ので、認容と却下とを比べてみました。
右に行けば認容が勝ち、左なら却下が勝ち。

子の引渡しは、この何年か認容が負け越してるけど、まあいい勝負。

監護者指定はこれとはちょっと違うところにある。
認容が勝ち越しているから、右にきている。

引渡しの認容率はこの3年で18%、監護者指定は25%。明らかに違う。
これ、検定するまでもなく違うけど、まあしいて計算するとP値は2.2e-16以下になる。

私は子の引渡しと監護者の指定は、同じものだとおもってました。
裁判所のホームページに、子の引渡し調停
という説明があって、

なお,この手続は,離婚前であっても,両親が別居中で子どもの引渡しについての話合いがまとまらない場合や話し合いができない場合に,利用することができます。ただし,この場合は,原則として,子の監護者の指定の申立てもする必要があります。

とあります。たとえば私は、これを見て、同時に申し立てました。
だから、これはほぼ一対のものだと思ってた。

この認識はちょっとだけ間違ってた。
いや、だいたい桁は同じなんですよ。でも違う。
監護者の指定だけを申し出たところがある。たぶんそこの勝率が違ってる。
極端に違ってる。そうでなければこの差がつかない。

実際には、監護者の指定のほうが2割くらい多いんです。
そこの認容率が5割くらいあると、子の引渡しと監護者の指定の認容率の違いが説明できる。
引渡しがなければ、勝率が2倍以上になるわけ。
どんな優秀な弁護士でも、ここまでは稼げないだろう。


どういうこと?
なにが違う? 命令が出るか出ないかってこと?

面会交流とひきかえに引き渡しを取り下げさせている?

前々回、審判がどうおわるか、
連れ去り側が有利という結果を、裁判所で乙4の認容の割合でみてみました。

逆に却下になるのがどのくらいかというと、これ。



いまだに15%くらい、面会交流さえ却下するのが信じられない。
折れないで最高裁まで持っていってほしい。

それはともかく、すごく却下がおおいってわけでもない。

いちおう、比較のために再掲。こちらが認容。


乙4の事件で、特徴的なのは、じつはこれかもしれない。
これは取下げ。
すごく取り下げが多い。



この3つの審判は、たぶんセットになっている。
面会交流の調停がダメで、なら引き渡しをとかんがえる。

面会交流をなんとかするから、あとは諦めろという方向に誘導されるのかもしれないし、
目的が達成されたからよしとするのかもしれない。
判決書かかなくていいしなあ。
あんまりうそ臭い却下を書きたくないからかもしれない。

面会交流の取下げが下がっているからねえ。
審判中に、申立人の心を折にくるのかもしれないね。

司法取引的なことが起きているのか?

2014年7月26日土曜日

乙7事件の特徴

前回のでふれた乙7とは。

離婚後に、親権の変更を願い出るケース。
たぶんだけど、離婚のときは、とにかくっていうんで親権を渡したけど、やっぱり
取り返したいってな場合かなと。わりと離婚後の半年くらいまでに起こされることがおおい。
まあそれからもあるんだけど。

民法の、

(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条  
1  父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2  裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3  子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4  父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5  第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6  子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

この6に該当する場合が乙7である。

ちなみに乙4はこう。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条  
1  父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4  前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。


家事審判法
第二章 審判

第九条
 家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。

乙類
四 民法第七百六十六条第二項又は第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分

七 民法第八百十九条第五項又は第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更

ちょっとわかんないのが、この乙7で、親権の引渡しに争いがないケースがけっこうあって、っていうか、
そっちのほうが多いのだった。なんだそりゃ? これ最近の司法統計では出てこない条項なんだけど、
平成10年はまだこれが出てる。
争いがないのに調停?

じつは、子の親権を変更するのには裁判所の手続きが必要なんです。
だから、お互いがかなり納得してから出すようなケースがけっこう多いものとおもわれます。

逆に、こじれればこじれるわけ。
それが審判にいきますが、その場合、認容がとても多いという事実。

2014年7月25日金曜日

審判の杜撰さ

前回の草稿、もっとつっこんで長い論文にして書いてくれってことだったので、
ご期待にこたえられるか、ばっちりのバージョンを作成中。

じつは、短報を弁護士さんの業界紙に、フルサイズのを法律関連の雑誌に
投稿するつもりだったのだけど、まあ最初から出し惜しみはしないでいこうと
方向転換。

司法統計から、見落としていた結論部分。


これは、どのくらいの割合で、審判が訴えを認めるかという割合。
子どもの引渡しなら、引き渡せというのがこの数字。

ゼロじゃないんですよ。だから、連れ去れば必ず勝てるわけではない。
にしても、これはないんじゃないか。

2004年くらいから、面会交流が認められるように、だんだんなってきている。
それにしたって4割に届かないんだけどね。

それにともなって、引渡しの割合が減っている。たとえば、引渡しがもっとも多かった
2006年と、もっとも新しいデータである2012年を比べた時、カイ二乗検定をすると
P値は0.0005569 で、めちゃめちゃ有意である。

要は、引渡しは面倒だし、責任とりたくないし、面会交流でいいじゃんという考え。

そもそも、なんで審判になっているかを考えるべき。面会交流を拒否し続けていたから審判。
調停委員のいうことを聞かなかったから、調停が不調になったから審判。
片親と子どもの関係を切断するのは虐待。それを司法がスルーするのはおかしい。
虐待があったから引渡しの審判をしているのだという認識がない。


乙7ではもっと引渡し側の結論になっている。
ちゃんと調べるとこうなるってことだろう。
子どもに被害が出るまで待ってから出てくる司法。

2014年7月5日土曜日

子どもより大人のほうが成績がわるい

これがフィッティングででてきたパラメータ。
論文ではいくつかの調査をわけて集計していた。
そのうち、数がおおかったものを2つずつフィットしてみた。
まあ、集計がちがっても、だいたい一緒の数値になってる。

みていただきたいのはmeanって数値。これがその平均というか、
群のまんなかの子の数値になる。

成績がわるいマイナーの子でも、マシなメジャーの子でも、
子どもより大人のほうが得点がひくい。

ちなみにこれらに10をかけて50を足したのが偏差値。

大人になるとマイナスが大きいことが明らか。

これ、経時的にみたのではなく、ある時代のスナップショットだから、
もしかしたら時代が5-10年くらい進んで改善されつつあるのかもしれない。

――そんなことあるわけないだろ?

だとすれば、これは悪化していくとしか考えられない。

離婚のダメージから立ち直れないで悪くなっていくのか、
離婚家庭でダメージを受け続けて蓄積していくのか、

たぶん両方なんだろう。


child adult
without with without mixed
major ratio 0.60 0.60 0.58 0.58
mean -0.57 -0.62 -1.33 -1.10
sd 1.00 1.00 1.00 1.00
minor ratio 0.35 0.35 0.36 0.37
mean -1.58 -1.79 -3.02 -2.43
sd 1.12 1.06 1.54 1.12
bad ratio 0.03 0.03 0.06 0.05
mean -6.28 -5.85 -8.22 -5.92
sd 1.28 1.13 1.14 1.18


ちなみに、それぞれのやつを二親家庭のそれと比べると、こんなかんじになる。



黒いラインが二親家庭のスコア(の推定値)。
それが離婚家庭の子ども(緑)ではこのようなふたつの集団にわかれる。
左側がマイナー。たぶんこっちは、片親と断絶しているような、はっきりした特徴がある。

それが大人になると、青で書いたようになる。
マイナーとメジャーの割合はそのまま。
ただ、得点が低くなってる。