2014年10月17日金曜日

1994 Amato 非監護親とと子どもの接触、両親間の葛藤、そして子どもの行動

これはAmatoさん本人におくっていただいたコピーなんだけど、
なんとコメントしてよいやらと。

Amatoさん、統計はほんとに素人なんだな。


ぜんたいとしては、非監護親との接触はよいことなんだけど、
両親間の葛藤が大きいとそれは逆効果になるというのが、いろんなところで引用される。

っていうか、そこだけが新しい概念なので。


統計学的なところでつっこませてもらうと、
・サンプルに問題がある
・検定のやりかたに問題がある
・多変量解析が失敗している
ってことになるだろう。


まずサンプリングだけど、最初から偏りがある。
共同親権で、共同監護であるカップルにはある割合で、
彼らの研究では、母親と父親がそれぞれ単独親権を求めて争ったケースの約3分の1に、共同親権が授与された。さらに、保護者の間の葛藤がより高いほど、より共同親権が付与される可能性が高かった。離婚後に三年半が経過した時点で、これらのカップルは、最初から共同親権を望んでいたどのカップルよりも、より多くの葛藤をもち、子育てではより非協力的だった。
こういう異物が混じっている。
これを排除しておかないと、共同監護がどう影響するのかを調査することができない。
(それをしていない)。

Amatoさんらは、高葛藤で共同親権のグループというのを後からつくった。
そのおこりがどういう人たちだったのかはわからないけど、
おそらくそこには異物に相当するものが、かなり含まれているものとおもわれる。

それらの人たちの子どものスコアが悪いのは当然ではないか。
この人達は、どんな監護の形をとってもダメだった可能性がある。


検定のやりかただけど、なにか違いのある条件を探して、いろんな組み合わせを試して検定をしている。
しかも、P値を7%とか、より緩くとってみたりして、いろんなことを試している。
その結果、検定に著しい多重性が生じている。
それを補正すると、ひとつも有意差がでない。
っていうかそもそも、あたりがどっかにないかなって日和見をするのがそもそも、検定ではアウト。


監護親の人種とか、父か母かってことで、ゼロイチの数字を振っている
(まあそれは標準化するから、ある小数になるけど、基本的に2値である)。
また、問題行動を示すスコアもゼロから7まで。なぜか対数をとっている
(たぶん一部の問題ある子どもだけがきわめて高得点になっている)。
これに、正規分布仮定をする線形モデルで、重回帰分析をしている。
無理無理。それは無理だって。やるとしたらカイ二乗検定とか、不連続な数値に対応する、
違うモデルを使うべき。
データとは異なる仮定をするモデルを使うのは、間違いのもとである。

実際、得られた式の相関係数Rは0.3以下で、これはほとんど回帰できてない、
使い物にならない式であることは明らか。
ふつうは1に近いところが見つかるまで、条件を探すものだけど、そういう努力を払ってない。
0.3とかで論文かくか普通? っていうか、載せるかふつう?


データを9つにグループわけして、それぞれで効果を見た図が載せられていて、たしかに
高葛藤のときに高い接触があるとダメみたいなんだけど、
そのデータにばらつきをしめす表示がついていない。
だから、どの程度に信頼できるか判断できない。

という全体をみるに、それは正しいかもしれないけど、正しくないかもしれないとしか言い様がない。
エビデンスとして採用できるものはない。
まして、その原因を想像してみたところで、その観察が正しいのかどうかわかんないので、
それはちょっとナンセンスじゃないかな。

0 件のコメント:

コメントを投稿