2014年10月29日水曜日

引用されてた、調査官のためのマニュアル2冊がPASをどう扱っていたか

この論説のなかで、4章の最後のほうで、片親疎外への対処として、
米国では、ペアレンティング・コーディネーター等の介入による紛争管理のほか、心理教育的介入、親子再統合のためのカウンセリングやキャンプ、非監護親への監護権の変更等の様々な手段が執られうる。監護権の変更はガードナーが推奨した方法であるが、子どもへの負担が大きく、必ずしも子どもの最善の利益にかなうものではないことも指摘されている(93)。

そして、その93番めの文献として2冊、引用されていました。それが
Rohrbaugh, JB (2008)
Stahl, P (2010) です。
親権の調査官のマニュアル本です。

さて、ほんとにこんなことが書かれているのか?

RohrbaughはPASについて、あまり深く語るのを避けていました、まだ研究者間で議論があるということで。
しかし基本的には、(全てではないにせよ)あるケースでは監護親による病理的な洗脳があること、
そうした親にセラピーをする、子どもにセラピーをする、
そして関係を正常化するべくアプローチすることを述べています。
だから、これをここで引用するのは間違い。
ひとことも言ってないもんね。


Stahlは、まるまる一章を割いて、この問題について紹介したあとに、
ガードナーたちが子どもの引渡しを勧めていると紹介したあとで、
別の意見として、それに消極的な意見を紹介しています。両論併記ですね。そして、
「親権の移行によって、疎外されている親の利益にはなるだろうが、
それは必ずしも子どもの最善の利益になるとは限らない」と結んでいます。

それはその通りで、当たり前のことです。
ガードナーも、全てのケースで監護権を移すべきだと言ってたわけではありません。
ただ、ずっとPASの問題点を述べてきたあとで、
両論併記をするためにほんの一行付け加えられている文章を、
わざわざ拾い出してくるのは、いかがなもの?


それよりも、Stahlは、別のまるまる一章をつかって、
親による子どもの拉致・誘拐について警告しています。
それはおもに、論説で何回もとりあげていたJohonstonさんが書いたあの論文を下敷きにしている。
そっちにはまったく触れないのは、なぜだ。

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