2014年5月25日日曜日

もうひとつ質問しなきゃ。

早速のお返事をありがとうございます。Visitingについてのあなたのお考えは私を大いに安心させるものでした。そして、親同士の葛藤をいかにして小さくするかが社会的にも重要であると私も思います。

頻繁な面会が親の葛藤を高める危険性は、しかし、棚瀬先生は紹介していなかった概念でした。おそらく彼女は、まだ面会があまり普及していない日本にあって、この考えを紹介するのをためらったのだと思います。あなたの意見は彼女を安心させたとおもいます。ざんねんながら、しかし、彼女は先週、passed away してしまいました。彼女の夫は、面会交流を推進している弁護士ですので、彼にあなたの意見を託したいと思います。

もうひとつ質問をさせてください。レビューでも引用されていたあなたの1991年の論文についてです。あなたはこの論文で、それまでに発表されていたいくつものデータを集めて、それらを再解析しました。測定値を比較可能にするために、それぞれでノーマリゼーションをしています。それぞれ、コントロールグループの平均を引いて、グループ内の標準偏差で割ることで、いわゆるz標準化をおこなっています。このデータの取り扱いに、2つ質問があります。ひとつは哲学的なもの、もうひとつはテクニカルなものです。

あらゆる標準化には、測定間で共通する性質をもつ測定値を、測定間で同一にするというプロセスが含まれます。この論文では、それぞれのコントロールグループが、その共通する性質をもつと考えられています。離婚家庭をそれと比較するのが目的ですから、この取り扱いは妥当です。ところが、どちらの群もwithin groupのSDで割っているように書いてあります。もし離婚家庭のSDが大きくなる傾向がいつも見られるなら、これはつまり、群間で同一にしてよい性質ではありませんでした(割るのなら、コントロールグループで測定したSDで割るべきでした)。このノーマリゼーションによって、離婚家庭のスコアが不自然に圧縮されてしまったはずです。

もうひとつテクニカルな疑問です。
このFig1と2であなたはstem and leaf plotを使ったので、
私はデータを2桁の精度で再現することができました。
その再現データのnormal QQ plot をしてみたのが、
添付した図です。添えられた赤い線は、
ロバストに求めた線形近似です。
この切片はpopulationのmuを、
傾きはsigmaをそれぞれ推定する値になります。

切片はあなたの言うように、離婚家庭が低いスコアになっていました。問題はその傾きが異常に小さい(0.16)ことです。本来であれば、この値は1になっているはずです。前述のとおり、それでも小さい値です。だからこの傾きは、あまりにも小さいものです。

もしstem-leaf plotの作図上でなんらかのエラーがなく、これがeffect size の実際のデータを反映しているとしたら、これはクリティカルなエラーです。コントロール群の分布が示されていないので推定するしかないのですが、おそらく離婚群とコントロールの間にはzスコアで1の開きがあることになります。これは少しの差ではありません、破壊的と言っていい大きさです。

この点をいま一度、ご確認いただけますでしょうか? よろしくお願いいたします。

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