乙4の対数増殖を止めて、地裁の能うところまで減少させるためには
これまでこうした抑制に成功した例は2つある。
ひとつは昭和61(オ)644の判決。
これが平成5(オ)609の判決と、何が違ったのか?
それは、過去の判例ではなくて、現実に則した判決であるということだ。
親が子どもを教えこむことで自由意志を奪うことができるのは、
とても単純な事実だし、それを疑う心理学者はいない。
ただそれを認めただけで、連れ去りを抑制できたのだから、これは見習うべきである。
これまで最高裁は、子どもの幸福について、それをどう評価するのかを具体的に示していない。
そのため、判断基準が、最高裁判決のなかでもまちまちになっている。
どう幸福(ウェルビーイング)を評価するべきなのか、
この問題については多くの発達心理学上の研究がなされていて、
かなりよくわかっている。
そうした知見を織り込んだ判決をすることは、たいへん有効だろう。
ひとつ具体的には、
「子どもと片親の関係を切断する行為は児童虐待である」
というのが、実務家たちの常識である。
これを織り込んだ裁定をして、この非人道的な行いへの非難を明確に示せば、
子どもを人質にする戦略をとる弁護士にたいしての牽制になり、
新たな連れ去り事件の発生を抑制できるだろう。
過去の過ちに拘泥せず、真実を重んずる姿勢が必要だ。
過ちを認めずにただ墨守していれば、人々の信頼を失う。
信頼されない裁判所が権力を行使するのは、反社会的な行為である。
もうひとつの成功例は、「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」である。
これは、客観的な評価方法をつくることによって、
だれが計算しても一定の金額を算出することを可能にした。
これによって公平性が保証され、不要な法廷闘争は未然に防止された。
面会交流については、子どもの幸福を測る客観的な方法を明確に示すことだ。
こうした方法は各国ですでに用いられている。「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」
の時と同じような委員会をつくり、同様にそれを普及させることは、
困難な作業ではないはずだ。おそらくこれがなされることで、子の引き渡しや
監護権者指定の事件も減ることだろう。
これらを通じて、乙4の事件数はかなり抑制できるのではないか。
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