2014年6月13日金曜日

司法統計・どこから指数関数的な増殖が始まったのか?

ことばの説明

きまった時間ごとに倍々に増えるこの対数規模の増加のしかたを
指数関数的と表現したり、対数増殖と表現したりする。
ある年のときの事件数は、たとえばこんなふうに表すことができる。

事件数 = a^年 (aの年乗, aは自然数で、この場合1.13くらい)
log(事件数) = log(a) × 年
ここでlog(a)は定数なので、log(事件数) が年に比例することになる。
だから前ページのグラフたちは直線で右肩あがりになっている。

どんな性質?

借金を返さないで、利息が利息を生む状態がこれである。
よく雪だるま式と表現するけれど、厳密には違う。雪だるまが増えるのは表面だけ。
対数増殖はもっと爆発的なのだ。

無菌的な培地に、一匹の菌を接種すると、このような増殖をする。
この増え方は、リソースを食いつくすまで続く(対数増殖期と呼ぶ)。
1リットルの培地に1ミリリットルの菌を植菌すると、
この菌にとっては1000倍の新天地を得たことになる。
それはたいした大きさのようにも思える。
しかし、30分ごとに分裂して倍に増える菌にとって、それは
10回の分裂を賄うには足りないことになる(2の10乗が1024)。
そこで対数増殖期は、最大でも5時間しか続かない。

この問題にとっての決定的なリソースは離婚数である。
現在、それは年間23万件ほど。面会交流の調停が15千件くらいなので
(10倍以上の余地があるので)あと20年程度はこの増加を維持できることになる。
もちろん、そのずっと手前で、なんらかの手をうたないと、地裁がパンクする。

いつ始まった?

司法統計で面会交流等のデータが出ているのは平成10年から。
それまでのは推定するしかないのだけど、乙4の総数が発表されている。

これでわかることは、まず、乙7がおよそ離婚数に比例しているということ。
ことに1980年以降は、一定の割合で、調停と審判とが発生していると考えてよい。

それに比べ、乙4は離婚数とは無関係に増加している。
ことに、戦後の混乱期から急速に減少したあと、1960年代から急激な増加に転じている。


乙4に集中してみよう。
1960年代から、だいたい4つの相があることがわかる。
赤の相①は対数増殖期で、なんとこの相では年率25%の伸び、
これだと2倍になるのに3年くらいしかかからない。

それがやや鈍化して相②に、やがて頭打ちして相③に、また増加がはじまる相④へと続く。
①から②の転移は1975年(昭和50年)くらい。②は86年くらいまでつづく。

相転移がわかりやすいように②から④の間を拡大してみる。
②から③の転移は、86年と87年のあと。
ここで86年がピークになっている、駆け込みが若干あった? ってくらいに。
それから9年ほどの停滞があって④がはじまっている。
しかし④の増加は単純な線形ではない。
たとえば2003年に伸びがとまる。
これは、例の養育費請求の頭打ちによるものである。
ここから先、乙4を押し上げているのは、主に面会交流と子の引き渡し、監護者指定である。

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