片親疎外が子供に与える影響
ちょっと考えただけだと、これはそんなにすごいことじゃないだろうって思うかもしれない。
人間って、何かの味方をするもので。
サッカーとかオリンピックとか、別に知り合いでもない選手のことを、
旗を降って応援するわけだし。
親が一人で頑張っている。そりゃ、子供は応援するでしょう。
その親が、もう一人の親を非難しているなら、子供だってヤジくらい飛ばすだろう。
なんて、思われても不思議じゃない。
これ、的外れ。もっと事態は深刻。
実際には、この状態にある子供には、いろんな不適応がみられるようになります。
成績が悪化する、誰かをいじめる、不登校になる、万引きをする、非行や犯罪、、。
「毒になる親」は、ある程度育ってからの、
悩める(が分別と知性のある)大人、その本人にむけて書かれています。
実際に起きていることを客観的に言うなら、もっと深刻(これはまた項を新たに)。
この状態の子供は、庇護されるべき存在です。
ひとつの家のことじゃない。ただ一人の人間の問題でもない。
次世代の社会の構成員が激しく損なわれていくのです。
社会が責任を持って立ち向かうべき問題なのです。
棚瀬一代先生の著書「離婚で壊れる子どもたち」によると、
片親疎外を起こしている子供たちはこんな問題を併発することがわかっています。
認知の歪み
実は誰よりも自分たちを愛している別離親を、自分たちを迫害する恐ろしいものであると信じこむ等、認知の歪みがおきる。
これがパラノイア的パーソナリティーとして固まっていく可能性が指摘されている。
また、支配的な大人がこうした妄想を植え付けていく行為は、
共有精神病性障害として、ICDやDSMでも取り上げられている。
自己の喪失
監護親に見捨てられないために、監護親の意見を100%鵜呑みにして生き、結果として「無自己」として生きることを強いられる。
長じてから深刻な抑うつ感や
希死念慮といった深刻な後遺症を引きずることになる。
精神的な問題を引き起こしやすい
学業成績不良、睡眠障害、抑うつ症状、自殺企図、違法行為、風紀の乱れ、薬物依存などの問題を起こしやすいとされる。
その他、子供の発達・発育に不利になる、
将来、父親の役割を果たせなくなる、
同居親との関係もうまく行かなくなる等の問題が指摘されている。
この認知の歪みは、いわゆる解離の原因になるのではないかと思います。
二女も、出て行った当初、私や長女からの連絡を拒否していました。
当時をふりかえって、暖房も寝具もない新居で段ボールを床に敷いて寝たとか、
少しずつ話すようになってきています。でも、ほとんどのことを忘れているようです。
たとえば、「そんときに帰ってくれば良かったのにさ」と尋ねると、二女は、
「そうだよねー。その発想はなかったみたいねー。」と他人ごとのように言います。
片親疎外を起こしていたときの自分と、今の自分との間に、ちょっと隙間があるかんじ。
よく、この子、帰ってこれたな。彼女を励ましてくれた○○○ちゃん、ありがとう。
それで認知の歪みがだんだん解消されて、私らと連絡をとるようになって、
それから「同居親との関係もうまくいかなく」なって、追い出されてしまったわけですが。
この娘の解離な状態は、だんだん落ち着いて、統合されていくことでしょう。
一緒に暮らしていての手応えがあります、これはあまり案じていません。
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